「上総はさ、地球の最後に何を願う?」
「うーん………正直、解らないなぁ…」
「何もないのかよ」
「折角考えられるのにねぇ。でも、最後に何を願ったって、ね。死んじゃうわけだし」
「未練残りそ」
「そうねぇ…。…ね、カイは?」
「俺ぇ?」
「うん」
「う〜〜…ん……、……解んね」
「こら!」
「わ、だってさぁっ!願いなんかないし!」
「もう、自分だってそうなんじゃない!」
「う〜…」
「…じゃあ、こうしよう」
「ん?」
「満点の星空」
ぴっ。細い指が空を指す。
「きっと世界のどこかで星が流れます」
「うんうん」
「その星に願いをかける子供の願いが叶う事を、私は望みます」
がくっ、と。
カイはうっかり屋根から落ちかける。
「自分の願いは!」
「無いし」
「一言かよ!」
金髪を散らしてカイは上総へ詰め寄る。
「だって、ねぇ、カイ」
「…あん?」
「私は幸せなんだよ?両親は健在だし仲良しだし貧乏でもなくて兄さんは優しくて、」
「…ぅぐ」
「空から天使は降りてきて地球の終わりを知らせてくれて覚悟出来たし」
「………」
「最後なんか、どうだっていいくらい」
「…無欲だなー、上総は」
「そう?そうかな…」
「そうだ」
「じゃあ、手を握ってよ、カイ。最後まで傍にいて」
はい、と差し出された手を握る。
「…もっと贅沢言えばいいのに」
「ううん?どうしてよ」
「どうしてって、」
「降りてきた天使を最後まで独り占めだなんて、充分贅沢なことじゃない」
これは中学生の時に考えたお話でした。いつかちゃんと書いてあげたい。